違ってきた未来

禅の彼女は、何度も禅に連絡をした。しかし、禅はそれを無視した。しつこく電話が鳴った。

「はい……」
「なんで連絡くれないの?」
「疲れて寝てたよ」
「会いたいよ……今日、会える?」

それを聞いて禅はうっとうしく思った。

「会いたいって、昨日も一緒だっただろ?」
「だって禅と、ずっと一緒に居たいんだもん」

彼女の容姿はソコソコだったが、性格は最悪だった。それに所詮ソコソコで……読者モデルをしているとかで、勘違いした女だ。禅は思い出していた。

“高校時代に、こんな勘違いした、傲慢な女と付き合っていたな……”

そんな事を考えながら、どうでもいいと思っていた。実際、その女以外にも二人と付き合っていた。だから絶対にマンションには入れなかった。それは付き合っている女たちも気付いていた。

しかし、どの女も同じ考えだった。二枚目で背が高く、優しくて金回りの良い禅……その彼女でいたいという気持ちが先行していた。だから、その事に触れる女はいなかった。禅は思っていた。

“どいつもこいつも……容姿はソコソコだが、プライドばかり高くて、ろくな人間じゃない!”

そう思うと、嫌気がさした。しかし、禅は気付いていなかった。華やかに生きてきた自分が、華やかな者を求めている事に……だから、女性の内に秘めた美しさには目も向けなかった。禅の考え方はこうだった。