と、心の中で叫んでみても目の前のショーはニコニコしながらブランコに乗っている。本当に純粋でくったくのない笑顔だ。もうこの笑顔で全て赦してもいい位の純粋無垢、汚れのない笑顔だ。まるで一、二歳の幼児の笑顔だ。あ~あ。

私は気を取り直してまたブランコを漕ぎ出す。

いつの間にか朝食を済ましたであろう近所の子供達が公園にきて、スベリ台、シーソー、また小学生の高学年と思われる集団は、ドッジボールを始めている。

ショーは他の遊具には目もくれず相変わらず、ブランコに乗っている。まるでショーはブランコの一部になってしまったようだ。

私はショーの執念に負け、未だブランコを動かしている。

朝の柔らかな日差しから、肌を突き刺すような鋭い陽射しに変わっている。今は真夏。

腹は空きすぎたからかもはや腹は空いていない。水一杯飲んでいないのに。私はボーっとしてブランコを揺らしている。

※本記事は、2020年10月刊行の書籍『ショー失踪す!』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。