(7)食事

私が一人暮らしを始めて最もひどい状況になったのは食事かもしれません。若い頃、特に体の不調もないうちは食事などあまり意識しないものではないでしょうか。ダイエットしたい人や、健康に意識を向けている人以外、この慌しい世の中で食事に目を向ける人は少ないのかもしれません。忙しさにかまけてファストフードや弁当に走る人は多いでしょう。

私は生まれも育ちも海に面した高知県で、釣りを趣味とする父がいたこともあり、魚はよく食べていました。あまり凝った料理ではなく、刺身、煮魚、焼き魚、鍋物などがほとんどだったのではないでしょうか。もちろん、育ち盛りの学生時代には肉も食べていたと思いますが、魚の比率は高かったと思います。そして、母親の食事には毎日必ずご飯とみそ汁、それと煮たり、炒めたり、もちろん生でも、野菜がありました。パンは給食以外ほとんど食べなかったと記憶しています。野菜は、近所の農家の方や家庭菜園をされている方にいただくことも多く、ほとんどが旬のものでした。栄養バランスの良さと、アレルギーを抑える栄養素、腸内環境を整えること、など最高のものだったと思います。

それが大学入学後、一人暮らしになると大きく変わりました。自炊はほとんどしませんし、アパートの近くに弁当屋があり、安い中華料理屋・ラーメン屋も歩いて数分で行けたので、何も考えず気の向くままに食べていたのです。自ずと麺やパンが増え、魚が激減し肉が増え、野菜も激減し、油が増えました。おそらく自分のおなかもびっくりしたことでしょう。体重もすぐに増えました。

また、食べる時間も短くなり、ファストフードも増え、丼ものや麺類などかき込んで食べるものや、水分で流し込んで食べるものも多くなりました。つまり口で咀嚼せず、流し込んでいたのです。これは食事内容に加えて、胃腸に負担になったと思います。

さらに一人暮らしをするまではほとんど経験がなかった、深夜の食事が追い打ちをかけます。

これらの結果、かゆみを生む外的要素は激増していたでしょう。加えて、大きな負担がかかる胃腸は免疫の働きに最も重要な場所と言っても過言ではないのです。

食事の質と摂取量とバランス、そして食べ方。これは私だけでなく、思い当たる方も多いのではないでしょうか。

※本記事は、2020年11月刊行の書籍『かゆみの処方箋』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。