しかし、全国の医師、全世界の医師が足並みをそろえて新しい治療を同じように使うかといえば、そうではありません。また情報が氾濫している現代では、どの情報が正しく、どれが間違っているかを判断するのも並大抵のことではありません。

正しい医療が全国どこでも、全世界のどこでも受けられるようになるのがひとつの理想ですが、それは想像以上に大変なのです。そのような背景から、いろいろな病気に対して「診療ガイドライン」が作成されています。

これは特定の病気の治療方針や治療薬についての原則や推奨をまとめたもので、治療のバイブルのような存在です。それだけにガイドラインは正しくなければならず、多くの科学論文を検討して、十分なエビデンスがあるもののみを採用して作成します。

個々の患者さんの病状は同じではありませんので、必ずしもガイドライン通りの医療のみが正しいとも限りません。また医療を受ける患者さんの気持ちも治療方針を決めるうえではとても大切な要素になります。そこで、今回の『関節リウマチ診療ガイドライン』は、学術論文の評価だけでなく、各薬剤の安全性に関する情報や、患者さんの意見や意向、一部では経済評価も考慮して作成しました。

日本リウマチ友の会にはずいぶんお世話になりましたが、患者さんの意見を取り入れて系統的に作成した診療ガイドラインは日本初と思われ、今後のガイドラインの在り方を示す道標になると思います。あくまで関節リウマチ診療に携わるプロの医師向けのガイドラインです。患者さんが読まれてもなかなか理解できないとは思いますが、そのようなガイドラインを通して、日本の医療が標準化されていくことをご理解いただければと思います。

11月は晩秋。朝夕が冷え込む時期になります。風邪を召しませんよう、くれぐれもご自愛あれ。