北海道

ちょっとだけ北快道 二〇一七年八月

【第一日目】 珍重の夏

登別温泉に到着したのは、午後六時過ぎ。温泉街は、微かに硫黄臭が漂い、街を流れる川は、うっすらと白濁している。川底からも温泉が湧出しているのだろうか。

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宿泊先の大きなホテルは、団体客の中国語や韓国語が飛び交い、異国に来たような感じ。北海道の温泉の風情を楽しむなら、外国からの団体客のいない小さな旅館にすべきだったと反省。

くたくたに疲れたので、部屋でゴロゴロしてから、午後八時にバイキング会場へ。御当地料理のジンギスカンがあったので、まずはそれを食べることに。ラム肉の臭いはなかったが、一切れ食べると口中に独特の臭みが広がった。せっかくのジンギスカンは、僕との相性が悪かった。ラム肉をこっそり息子たちの皿に移す。

その後、お目当てのスウィーツ・コーナーへと、僕まっしぐら。大盛ソフトクリーム、チーズケーキを持ってテーブルに戻る。僕と背中合わせに座っていた、後ろのテーブルの幼児が僕に触発されて「ソフトクリーム!」と言い出す。「ご飯食べてから」と嗜(たしな)める母親。僕は息子たちに向かい、「早く、ソフトクリーム食べないとなくなるぞ」と幼児にも聞こえるように言う。幼児「ご飯いらん。ソフトクリーム食べる」。母親「まだ、全然ご飯食べてないでしょ」。

僕は、ソフトクリームを食べ終わると、スウィーツ・コーナーに再突入し、大盛ソフトクリームとベイクドショコラを持って戻る。「ケーキ、なくなった(嘘)。ソフトクリームもあとちょっとしか残ってない(嘘)」と息子たちを急かす。幼児「お腹一杯。ご飯入らん。ソフトクリーム食べる」。母親「ソフトクリームが食べられるなら、ご飯も食べられるでしょ。我がまま言ったらダメ」。

僕は、ソフトクリームを食べ終わると、スウィーツ・コーナーに再々突入し、チョコソースをかけた大盛ソフトクリームを持って戻る。「このチョコソース、美味すぎ。お父さん、死ぬかも(嘘)」。幼児「絶対、ご飯食べん。ソフトクリームしか食べん」。母親「何回言ったら分かるの。ご飯が先って言ってるでしょ」。幼児「お母さん、嫌い。お腹痛い。ご飯いらん!」。父親「こらッ! そんなこと言うなら、何も食べるな。お前だけホテルに置いて帰る。もう知らん」。幼児、テーブルを叩きながら号泣。

ファミリードラマを鑑賞しながら満腹になる。子育ての大変さに同情しつつ、レストランを後にする。