「お母さん、元気?」
「うん、この頃けっこう帰り早いよ」

聞き上手なオバチャンに、母はよく焼き鳥を買いがてら悩み相談をしていた。小学生の頃、話が長引いて退屈した俺がオバチャン飲みかけのペットボトルを飲みそうになったとき、スゲー怒られたっけな。

「こら、ユウちゃん! あたしの歯周炎がうつっちゃうよ! 危ない危ない!」

イタズラしても怒らないオバチャンの真剣さに気圧されて、ビビったけど嬉しかったのを覚えてる。この剣幕は俺の歯を守るため。

そのせいか、全然潔癖症じゃないけど、今でも廻し飲みは苦手。運動部だと、ある程度は避けられないから、文化部でラッキーだ。唾液の交換だからな。キスと変わんないじゃんか。

※本記事は、2020年11月刊行の書籍『人間関係貧乏性』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。