“I don’t live here...(ううん。ここには住んでない…)”
“You a stranger!(あんたはストレンジャーよ!)”
“Alright... I understand..., I don’t take a picture of you guys...Don't worry, alright?(わかったわ…もういいわ…あなたたちの写真はもう撮らないから…心配しないで、わかった?)”

クールは、「いいものを見せてもらったわ」とばかりに、やはり冷たい笑みを浮かべながら、私とブレイズのやり取りを見ていた。確かに、私はここではストレンジャーだ。かといって、興味本位に彼女たちの写真を撮りにここまでやって来たわけではない。

私にも意地がある。その後、彼女たちの横で、選手たちのプレーやトーナメントの様子を何枚も写真に収めた。せっかくなので、最後に自分の写真もおまけに2枚、Tに撮ってもらった。そんな私の様子を彼女たちはさり気なく観察していたが、しばらくすると、まともに試合を観戦することなくベンチから立ち上がり、そのままストリートへと出た。

※本記事は、2020年11月刊行の書籍『HOOD 私たちの居場所 音と言葉の中にあるアイデンティティ』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。