「登校拒否」という言葉を用いずに「不登校」という言葉を用いるようになったことで、お子さんの状態を正確に表すようになりました。それと同じように、今まで獲得できなかったものを新たに獲得しているという本来の意味と合う、正しい言葉を用いていきたいものです。この言葉を一般の新書や文庫の世界でも広めたいので、この項ではあえてリハビリテーションという言葉を使わず、ハビリテーションと言うことにします。

感覚統合訓練は、回転板に乗せて回転させても眼振が出ない、つまり目が回らないという発達性協調運動症を伴った自閉スペクトラム症の症状が出ているお子さんに効果があります。歩き始めでよく見られるつま先立ち歩きも、回転板に乗せて回転させても目が回らないお子さんと同様、感覚統合訓練をする目安の一つになります。これは、重力不安の時に見られる歩き方です。

2001年、学術雑誌の「脳と発達」(日本小児神経学会)に掲載された二木康之らの「Idiopathic Toe-walkingの神経発達予後」によると、自閉スペクトラム症の30%程度につま先歩行が見られるそうです。ただし、中には歩行器を使いすぎても同じ歩き方になることがあるので見極めが必要です。

感覚統合訓練は、リハビリテーションを専門に扱う作業療法士(OT)が行っていて、言葉を理解しやすい心と体を育てるための訓練です。

※本記事は、2018年10月刊行の書籍『新訂版 発達障がいに困っている人びと』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。