生演奏といっても楽器はもとの曲の構成に合わせるのではなく、ある時はキーボード、またある時はアフリカの民族打楽器のようなもの、そしてある時は音叉やミニシンバルといったようにさまざまな楽器を用いて行います。時には順番で、実際に演奏に加わってもらうこともあります。

「パンパン」というミュージック・ケア用のオリジナル曲では、円陣を組んだお子さんに順番に沖縄太鼓をわたして、リズムに合わせてスティックで太鼓を叩いてもらいます。

きちんとリズムに合わせることができなくても、叩けたら褒めます。どの国のお子さんも最後に必ずパンパンと太鼓を叩きたくなるメロディとリズムが不思議とこの曲にはあるのです。

鳴子と呼ばれるカスタネットのようなものを両手に持ってリズムに合わせて歩きながら両手を上げて叩いたりもします。

ミュージック・ケアでは、鳴子を鳴らしたりや太鼓をたたいたりすることだけではなく、終わりの合図を含めた鳴らさないところやたたかないところも大切にしています。つまり、待つことも楽しく訓練しているのです。

時には楽器だけでなく静かな曲に合わせてシャボン玉などを室内で吹いたりします。動と静を入り混じらせることで、行動のメリハリをつけることを学んでもらっているのです。

最初はバラバラに走り回っていたお子さんが、最後にみんなきちんと座って手をついて挨拶して帰る姿は何度見ても嬉しいものです。

私は、ミュージック・ケアは魔法のケアだと思っています。もっと普及活動をし、このような取り組みが全国のあらゆるところで行われるようにすることが、私の今後における目標の一つです。

近い将来、「音楽療法士」が「音楽療法師」となるよう、つまり国家資格になればいいと考えています。

※本記事は、2018年10月刊行の書籍『新訂版 発達障がいに困っている人びと』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。