試験形式と内容

保育士試験は、筆記試験と実技試験とがあり、九科目の筆記試験にすべて合格しないと、実技試験を受験することは許されない。筆記試験は、すべての科目を三年以内に合格すれば良い、つまり三年間は合格した筆記試験の科目の合格は有効というわけである。

しかし、六五歳の私には三年もの時間的な猶予はない。一刻も早く保育士の試験に合格し、待機児童の問題解決の一助になりたいのである。私にとって九科目のすべてが未経験の分野であり、新しい知識を吸収することは、自分自身の成長のためでもあった。だから一科目、一科目は苦痛ではなく、本当に楽しい発見であった。

ただ、保育実習理論だけは大変だった。三つの表現技術について理解と実践力が求められる。つまり、音楽表現、造形表現(絵など)、言語表現(素話など)の三つの表現技術が問われるのである。

特に、私の苦手とする音楽は大苦戦だった。例えば、音程(完全音程、長音程、短音程、減音程、増音程)や音階、転調、移調、和音(長三和音、短三和音、増三和音、減三和音など)、コードネームなどは、理解することに苦しんだ。また速度標語(プレスト、アダージョなど)や強弱記号(モルト、ポコ・ア・ポコなど)や曲想標語(ア・カペラ、ドルチェなど)も暗記せざるを得ないので、とても苦労した。

実技試験は、三分野(音楽、造形、言語)から、筆記試験の合格者が二分野を選択し、事前申請した分野を受験する。私は造形と言語を選択し申請した。筆記試験と実技試験の詳細については後述する。

*詳細は一般社団法人全国保育士養成協議会のホームページで確認していただきたい。

筆記試験:

(1)保育の心理学

(2)保育原理

(3)児童家庭福祉

(4)社会福祉

(5)教育原理

(6)社会的養護

(7)子どもの保健

(8)子どもの食と栄養

(9)保育実習理論

実技試験:三分野から、受験者が希望する二分野を選択

(1)音楽表現に関する技術

(2)造形表現に関する技術

(3)言語表現に関する技術

保育士試験合格率

厚生労働省から発表されている保育士の合格者数と合格率は、図表1の通りである。

[図表1]保育士試験の合格者及び合格率  
出典: 厚生労働省のデータを基に筆者が作成

ここでの傾向を見てみると、次のポイントが見てとれる。

* 保育士試験を受験する人は、四千人以上減っている。

* 一方、幼稚園教諭などの免許を持ち、養成学校などを卒業して不足分の科目を試験を免除された人は六千人以上増加している。

* 試験を受けた人の合格率は三ポイント上がり、試験合格者は六百人以上増加した。

* 試験合格者も学校を卒業し免除された人も、ともに一万人台となり拮抗している。

* 試験合格者と学校を卒業し免除された人の合計人数は前年より七千人も増加した。

ちなみに過去九年の保育士試験の合格率を見ると下のグラフのようになる。

写真を拡大 [図表2]保育士試験合格率
出典:厚生労働省のデータを基に筆者が作成

* 合格率は、二〇〇八年の一〇・六%を最低に、右肩上がりでアップしている。

* 二〇〇八~二〇〇九年の平均合格率は一一・六%であり、二〇一四~二〇一五年の平均合格率は二一・一%と、合格率は倍近くにアップしている。

一方、保育士試験の受験者数は四千人以上減っていて大変気になる。保育士試験から、学校を卒業して試験を免除された人へシフトしているのだろうか。

※本記事は、2018年8月刊行の書籍『じーじ、65歳で保育士になったよ』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。