94歳のYさんは脳梗塞後で寝たきりです。経口摂取もできなくなりました。

訪問診療をしていたかかりつけ医から「そろそろターミナル。看取り方向で考えよう」と話をされました。しかしご家族は納得されず、何とか鼻からの経管栄養を行って欲しいとのご希望です。在宅ではそんなことはできないとかかりつけ医からのご依頼で入院されました。

でもただ栄養を入れてもらえばいいだけで検査などは一切拒否です。Yさんのご家庭も息子さん2人との3人暮らしで家には女手はありません。2人の息子さんは朝から付き添っています。お二人共働きには行かれていないようです。

親孝行です。でも男手だからでしょうか、入院するまで清拭や入浴はしていなかったようです。

入院して数日後、息子さんの目の前でYさんに心停止、呼吸停止が生じました。95歳近い年齢で寝たきりで食べられない状態での心停止、呼吸停止でした。誰しも終焉の時が来たと考える状態です。

ところが「人工呼吸器をつけて延命して欲しい」。息子さん達からのご希望です。人工呼吸器が装着されました。でも人工呼吸をしても心停止が改善することはありません。Yさんは亡くなられました。

親思い、親孝行な息子さん達ですがここでも年金問題が潜んでいるように思います。

以前96歳を過ぎた父親の延命をとても願うご家族がおりました。このご家族の場合はまさに父親の年金が頼りの生活でした。何とか退院まで漕ぎ着けましたがその後どうされたのか不明です。

少子高齢社会の中で日本の年金制度の存続が危ぶまれています。若い世代の中には年金が貰えなくなるかもしれないと不安にかられる方もいます。制度が崩れた時、TさんやYさんのご家族のような親孝行? な子供はどうなるのでしょうか。

※本記事は、2020年6月刊行の書籍『新・健康夜咄』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。