それにしても何と独居の方が多いことか。SさんにしてもKさんにしても子供さんはいます。

しかしそれぞれ都会に出てそちらで家を構えています。「子供らは来いと言うけれど、住み慣れた所が一番いい。身体が動くうちは行かない」ようです。

 KIさんSOさんも同じです。皆それぞれ一人で生活されています。「いつも行ったり来たりして話をしている」「都会へ行ったら話をする相手もいない」と。時には化石医師のことも話題に上がるようですが一緒にお茶を飲んでいます。

皆さん80歳を超えていますが、雪かきをするくらいですから自力で歩けお元気です。この方々は介護保険のお世話にもならずデイサービスも利用されていません。「動けるうちは自宅で」。それが一番なのかもしれません。

認知症や自立度の低い方には様々な介護サービスが講じられています。でも自立生活を維持されている独居高齢者の方々がお元気で過ごされその生活を維持されるような体制づくりの充実も望まれます。通院や外出支援、お買い物支援、そして雪が降った時などは雪かき支援などです。

さて寒さ厳しい山国にもいつの間にか春が巡ってきているようです。

「蕗味噌を作ってもらったら美味しかった」。先日そんな話を伺いました。冒頭のFさん宅への往診の道筋には春になるとワラビやコゴミが自生しています。地域研修の研修医を連れ往診し帰りにワラビ採りをすることも楽しみです。

もう少しすればタラの芽も目に付くようになります。そんな自然を感じられる生活も楽しく大切です。

※本記事は、2020年6月刊行の書籍『新・健康夜咄』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。