信頼関係の積み重ね

東京に進出するのは無理ですよ。やめたほうがいい。

仕事が少ない時は、そうした多少の危険が伴う仕事もやるしかありませんでした。

お世話になったTOTO工務課の関山俊和さんは新しいプロジェクトの立ち上げのため、部長として東京に転勤になりました。私は虎ノ門にあるTOTOのビルを訪ね、関山部長にお会いしました。

そこにFRPタンクやプールの施工の時にお世話になった大島伸一さんもいました。関山さんと同じプロジェクトのメンバーの課長として参加していたのです。

私は開口一番、「東京で仕事がしたいのです。何でもいいからやらせてください」とお願いしました。何とも無茶な切り込み方です。私は中津工場での仕事が減っていたため、何とか次の展開をしたいと思っていました。

「東京で何をするのですか?」と即座に言われました。私は「施工付き商品の仕事がしたいのです」と言うと、「東京には業者がいっぱいいます。九州から出てきて施工店をするというのは無理ですよ、やめたほうがいい」と言われました。

それでもあきらめず、何度も九州から足を運びました。三度目の訪問の時は、保科孝一朗常務が虎ノ門界隈を案内してくれました。霞が関や官庁街、国会議事堂周辺まで徒歩で案内してくれ、「こちらが文部省です。あちらが皇居です」と丁寧に説明してくださいました。しばらく歩いてから喫茶店に入りました。