きのうとは空気の色が違いたり母が何処にも居ない世界の

 

東京のエアー・ポケット古書街を初老の男の影が行き交う

 

店先の黄土色した古書たちに二月の光やわらかく差す

※本記事は、2015年3月刊行の書籍『歌集 祈り』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。