和彦が仕事終わりに出逢ったのは、着物姿で物憂げに歩く女性・澄世であった。 平坦とはいえない彼女の人生と、その決意の奥に秘められた想いとは…? 著者が自身の日記をベースに書き上げた小説を、連載にてお届けします。

子宮癌の検査、襲い来る痛みに澄代は…

澄世は小さな声をあげて泣きじゃくってしまった。脳天にまで激痛が走った。

「大丈夫ですか?」
カーテンごしにK先生の声がした。

「……はい……」
澄世は椅子の肘かけをつかんで、痛みに耐えて小さな声で言った。澄世の目尻には涙がつたっていた。……終わった。ショックと痛みで澄世はガクガクと震えていた。

「服を着たら、また診察室へ来て下さい」
看護師がそう言い、ナプキンを渡して出て行った。澄世はまだ震えていた。ナプキンをあてると血がついた。

靴を履き、鍵を開け、内診室を出て、診察室に入った。K先生が心配そうに立っていた。スラッと背が高かった。

「痛かったね」
K先生は、澄世を思いやった。

澄世は泣きそうなのを必死でこらえていた。

「結果は来週です。二十五日の十時で予約しておきますね。……歩けますか?」

澄世は無言で頷いて、診察室を出た。

歩こうにも、股間が痛く、頭がフラフラして、周りがよく見えなかった。どこをどう歩いたのか、福島の駅へ行けず、道が違ってしまった。そのままソロソロと歩き続け、なんとか大阪駅にたどり着き、快速電車に乗った。家に帰り、自室に入るなり、ワーッと泣いた。

二十五日(月)十時に、結果を聞きにK病院の婦人科へ行った。すぐに呼ばれた。

「子宮頸癌は問題ないです。子宮体癌ですが……Ⅲbで、偽陽性でした。子宮内膜に異形細胞があります。MR画像を診ると子宮筋腫も大きいですし、もう四十歳ですから、子宮摘出をしましょう」

K先生は、ソフトな声で物静かに、けれど大変な事をハッキリと澄世に言った。思いもしない結果に、澄世は愕然とした。澄世はこわばり、悲痛な顔をして聞いた。

「……癌なんですか?」

「おそらく早期です」