三島晃課長は、社外から部品や資材の調達業務に携わっている。そんな中、同じ部署の城山が自分の職位を利用して不正をしているという情報が耳に入ってきた…。

大会社消滅

こんな社長の懐に入ろうとしていた城山は、社内の試作部門の担当者とグルになり、多額の裏金を得ていた。その城山が絡む仕事で大問題が発覚した。

ある時、コンピューターのデーターによる大物試作品の調達要求があった。たまたま、事務上のミスから同じ物を異なる試作メーカーC社とD社の二社に発注することになってしまった。その際に判明したことは、二社に提示した予算価格に大きな開きがあったことである。

その品物を受注することができなかったC社は、経営難に陥ってしまった。C社は三島課長に支援を求めた。求められたが、どう応じるべきか。三島は上層部に相談することにした。相談相手は自ずと決まる。社長派の内川専務はダメだ。公明正大な本山常務しかいない。

三島課長からの相談をうけた本山常務の動きは的確で早かった。さまざまな伝票に目を通すと、城山の悪事がたちまち明るみに出た。本山常務は城山を徹底的に追求した。

城山は、内川専務を介して社長に取り入った。この時は社長と内川専務は城山を擁護することはなかった。伝票とカネの流れで、城山の不正行為が明白になっていたからだ。立場がなくなった城山はすぐに退職した。

NUS株式会社、NUS懇親会は解散された。退職後の城山の行方はわからない。

三島課長はC社の経営問題の解決と経営指導のために、5年間という期限限定の条件で同社に出向することになった。三島課長のC社での肩書きは、営業担当取締役であった。営業担当であるから、仕事の受注もしなければならないし、受注品を納入する仕事もしなければならなかった。