夕凪の白兎海岸日の没(い)りに 鰐の背岩の影ふかくある
み社の春日しづけし神をよぶ 巫女おごそかに鈴ふる音す
*巫女 神の力を授(さず)かるといわれる女性。神事の中で鈴を振りながら輪を描くようにめぐる。
王女のにほふがごとき牡丹花の 傘さしかけて威厳を保つ
※本記事は、2019年9月刊行の書籍『歌集 秋津島逍遥』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。
歌集 秋津島逍遥【第55回】
“忘れえぬ旅をまたひとつ三十一文字に封印す”
――日本の面白さに旅装を解く暇もない
最果ての無人駅から、南の島の潮の香りまで、まだ見ぬ土地に想いは募る。
尽きせぬ思いが豊かな旅情を誘う、味わい深き歌の数々を連載にてお届けします。
夕凪の白兎海岸日の没(い)りに 鰐の背岩の影ふかくある
み社の春日しづけし神をよぶ 巫女おごそかに鈴ふる音す
*巫女 神の力を授(さず)かるといわれる女性。神事の中で鈴を振りながら輪を描くようにめぐる。
王女のにほふがごとき牡丹花の 傘さしかけて威厳を保つ