まったくなんの関係もなく思える事柄が細い糸でつながり、巡り巡ってまったく別のものになったりする。そんな世の中の裏事情を、このボトルキャップ回収箱は目の前に提示してくれているような気がした。歩きながら岳也は想像を巡らす。もしかすると、この世に存在するすべてものは一つにつながっているのかもしれない。

どんな小さなものでも、たとえば──道端に落ちている吸い殻も、コンクリートを突き破って出てきた名前のよく分からない雑草も、すべては太さや長さの違う糸でつながっていて、それらを辿っていくと一つの大本ともいえる場所に行きつくのかもしれない。

自分ももちろんつながっている一員なのだろうが、岳也は自分がどこかにつながっているという気がまるでしなかった。自分だけはどこにもつながっていなくて、ポツンと単独で存在している気がする。

独立して、且つフワフワと漂っている気がする。だが自分以外のものはすべてつながっていて、どこか知らない場所で一つに束ねられているのだ。おそらくそこに辿り着くまでが複雑怪奇で、その複雑さこそが世界の成り立ちを支えているのだろう、などと考えているうちにスタジオに着いた。すでに全員が揃っていて、それぞれ自主練習をしているところだった。

メンバー達と、おう、と短く挨拶を交わす。岳也にドラムを頼んだ拓未が近寄ってきた。

※本記事は、2020年10月刊行の書籍『空虚成分』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。