弥生編

ロユユは、兵士たちや、残って他の者の脱出を手伝ってくれている避難民たちに、突飛だと思われるであろう、その考えを話した。話しているうちに、ロユユの心は、実際にその新天地にたどり着いて、戦や政事の悩みのない暮らしをするという考えに、さらに惹かれていった。

ロユユは、兵士や避難民に、希望する者は連れて行くし、江の北を目指す者は送り届け、それぞれの故郷に戻りたい者には、人数に応じた船を割り当てると言った。

一部の兵士たちは、故郷に戻るのを選んだ。越に連行されないことに賭けようとするか、逃げるにしてもまず家族と合流しようとする者たちだ。江の北へ向かう者も少なくなかった。

海を渡るという考えに、恐れを為した者も居ただろう。けれども、ダヌや一部の兵士、それから多くの避難民が、ユユ隊長と行動を共にすることを希望した。兵士は、ユユ隊長を慕いその判断を信頼している者たちだったが、避難民にはもう戻る故郷がないのである。新天地に行く、という言葉は魅力的だった。

ロユユは、残った船団を東に向かわせながら、両岸の村に船を派遣し、王城の炎上と越軍の横暴を伝え、希望する者が居れば船に乗せると共に、食料や物資を買い求めさせた。