お帰りなさい!!!

ユヒトらはいつも出迎えがあるまで決して中に入ってこなかった。しかし今日は違った。ぐいぐい敷地に進入し、みなが食事をとっている広場に向かってくる。早坂は声を飛ばした。

「あいつら勝手に入ってきたぞ。晴夏、厳しく言ってやれ」
「そうはいかないわ」泉は大きな声で言った。
「なんだと?」
早坂はまなじりを険しくし、いよいよ間近に迫った来訪者に目を凝らした。

「あッ!」思わず声が漏れる。

来訪者の先頭は林、その左右に岩崎と岸谷。一歩離れてユヒト・イニギ・スソノら、イマイ村の若者たち。その後ろにさらに三、四名の若者がいて、いつものように大袋を背負っている。

「みんな、心配かけたね!」林は満を持して声を上げた。

早坂と沼田はすっかり青ざめて口をぱくぱくさせている。わけを知らない若者たちは箸や茶碗を取り落した。

彼らは自分が幻を見ているのか、みんな死んであの世で再会しているのか、わけが分からなかった。木崎茜が自分の頬をつねり「ホントだ!」と言った。川田は立ち上がり、木の椀の底を棒で叩いてけたたましく打ち鳴らし、

「おかえりなさい! 林さん、岩崎さん、岸谷さん!」

笹見平にワッと声が上がった。砂川ら大学生は、何度も目を擦った。泉は涙ながらに帰還者をひとりずつ抱擁した。中学生らは声を上げて泣いた。

三人の身に何があったのか、どうして帰って来れたのか、まだ何も分からなかったが、とにかく溢れる喜びをこらえきれなかった。

※本記事は、2020年7月刊行の書籍『異世界縄文タイムトラベル』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。