「脳梗塞・認知症・運動器症候群(ロコモ)」​三大疾患、2人の医学博士が徹底解説。高齢者が自立して健やかな老後を送るためのノウハウ満載。医療従事者だけでなく、介護・福祉関係者も活用できる知識をお届けします。

認知症と紛らわしい病気

◎うつ病性仮性認知症とは?

人生の「たそがれ時」に起こりやすい「老人性うつ」は、周囲の人が「うつ」症状を認知症と間違えることがありますので注意が必要です。

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うつ病の人を励ますとますます落ち込んでしまうので、励ましは原則としていけないのですが、認知症は励ますことが治療の秘訣の1つなのです。

高齢者の「うつ」の原因は様々ですが、親しい人を失う、定年退職などによる社会的役割の喪失感(定年うつ)、付き合っている人が離れていく、ペットが死ぬ、収入が無くなるといった「喪失感」がきっかけとなることが多いといわれています。

認知症の診断を開始するにあたって、認知障害の原因としてせん妄やうつの可能性を消去することは重要です。なぜならこれらの症状は可逆性があるからです。

「うつ」になると、ボ~ッとしていることが多くなります。睡眠障害(不眠)、倦怠や食欲減退などの身体症状、気分・感情の障害、意欲や性欲の低下、思考・判断力の障害、行動の障害などが症状として現れてきます。

うつ病は脳の病気で、抗うつ薬などの薬物療法や認知行動療法(気持ちを楽にする精神療法)など、適切な治療で治せる病気です。

専門医の門を叩くのに、世間体を気にして精神科や神経科などを受診したくないというときには、心療内科や神経内科、脳神経外科などでも診察・治療をしますので、自分や家族だけで解決しようと悩まないことが大切です。

「うつ」は、まじめで責任感の強い、几帳面で仕事熱心な人がなりやすいともいわれています。そんな人が、ストレスの多い環境や生活環境の急な変化などに出合ったとき、うまく適応し、やり過ごすことができず、病気の状態になるとも考えられています。

[図1]うつ病性仮性認知症とアルツハイマー型認知症の臨床的特徴