亡きがらとなりたる母に返したり賜いし掌中観音経を
父の死を悲しむ我の掌に古びしお守り母は載せたり
母はもう祖母に逢いしか少女の日賜いしという観音経持ち
※本記事は、2015年3月刊行の書籍『歌集 祈り』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。
歌集 祈り【第10回】
―ああだから月はみんなに愛されるんだ自分ひとりを見てる気がする―
夜明けに人知れずそっと咲く花のように、
それでいいんだよ、と許してくれるような、
自分のかわりに、幸せを願ってくれるような。
心に灯りをともす、優しくあたたかな短歌を連載にてお届けします。
亡きがらとなりたる母に返したり賜いし掌中観音経を
父の死を悲しむ我の掌に古びしお守り母は載せたり
母はもう祖母に逢いしか少女の日賜いしという観音経持ち