いつの間にか帰化植物だらけ 平成二十一年七月十日掲載

三年前、我が家の狭い庭に突如出現したネジバナ数本。去年一昨年と変わらなかった本数が、今年は何と数十本がニョキニョキと現れて嬉しい悲鳴です。一方、道端を歩いているとオオイヌノフグリの花を大きくしたような、ピンクの可憐な花を見つけました。愛用の植物図鑑を見ればすぐに分かると思い、調べると載っていません。

別の日に利根川沿いを通ると、所々黄色い花を咲かせ、塔のようにそびえ立つ人の身長を超える不気味な植物を発見しました。これまた図鑑に載っていませんでした。この二つの植物を気にかけていたら、あちこちで見つかりました。二つとも明治時代にやってきた帰化植物でした。

ピンクの花は月見草の仲間で、夕方から花を開くので「アカバナユウゲショウ」といい、謎の巨大植物は「ビロードモウズイカ」といい、漢字では天鵞絨毛蕊花と書きます。

葉の質感がビロード(天鵞絨)のようで、雄しべにも毛が生えているのでモウ(毛)ズイ(蕊は雄ずいのずい)カ(花)という名がついたそうです。

最初私は、海にいる「イカ」と関係あるのかと思ってしまいました。増え続ける園芸品種と共に、帰化植物の野生化に何か弊害はないものか心配です。

野に咲くユリに憂いを忘れる 平成二十一年八月一日掲載

秋にヒガンバナが咲く辺りに今は朱色のユリの花が咲き誇っています。有史以前に中国から渡来して帰化したと言われている、八重咲きのヤブカンゾウ(藪萱草)です。ニッコウキスゲや、本県の榛名山に群生するユウスゲに似た、一重咲きのノカンゾウはなかなか見つけることができなくなりました。

カンゾウのカン(萓)とは中国語で「忘れる」という意味で、「悲しいときに、カンゾウを眺めると憂いを忘れられる」という言い伝えがあるそうです。この花がユリ科ワスレグサ(忘れ草)属と言うのも興味を惹きます。ところで、遠くからヤブカンゾウを眺めると綺麗なユリの花だなと思うのですが、至近距離ではどれもこれも奇形に見えます。

形の整った園芸品種とは違います。これは八重桜と同じように雄しべが花びらに変化した結果、花びらの先に雄しべの葯があったり、花びらのもとに雄しべの柄があったりするのでグロテスクに見えるようです。

満月と初日の出の大きさ比べ 平成二十二年二月九日掲載

元旦の朝四時二十分に目覚ましをかけ、急いで外に出ると満月の左下の部分が欠けていました。明治五年まで続いた太陰太陽暦(旧暦)の時代には、月の初めは新月だったので、元日史上初の部分月食になったそうです。ところで月の第一日目を「ついたち」と言う理由は、新月の日を「月が立つ日」とし、「つきたち」から「ついたち」となったそうです。

月食を見て二時間後、満月が榛名の相馬山に沈み、間もなく赤城のすそ野から燃えるような太陽が昇るのを見ました。その大きさはちょうど同じくらいに見えますが、実際には太陽の直径は月の直径の約四百倍です。

では、何故同じ大きさに見えるのでしょうか?

それは地球から太陽までの距離が、月までの距離の約四百倍だからです。月までの三八万キロを一直線の道があると仮定して一日十時間、時速四キロで歩いて約二十六年で着けますが、太陽までは一億五〇〇〇万キロもあり、同様に歩いていくと約一万年かかります。

自分の目を地球とするなら、その一二センチ先に直径約一・二ミリメートルの月があり、目線から五〇メートル先に直径五〇センチの太陽がある計算になります。この二つがちょうど同じ大きさに見えるのです。

※本記事は、2018年7月刊行の書籍『日本で一番ユーモラスな理科の先生』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。