自宅の午後のお茶の時間。

「豊子。お父さんと一緒にチラシでゴミ箱を作らへん。頭の体操にもなるし……」
と言うと、

「チラシでゴミ箱? そんなことできるの? 面白そうだから、やってみる」
と興味を持ってくれた。「じゃあ、やろうか」となった。

早速、チラシを渡し、
「お父さんのやる通り、真似して折ってほしい。先ず、チラシを二つに折ります。それをさらに、二つに折って……」

とゆっくりと手順を順番に教えていった。その作業は12手順で完成する。妻にやらせてみると、紙の角をきちっと揃え、丁寧に指を動かして左右対称、実に綺麗に折った。

「お前が作ると、凄いわ。お父さんが作ったのと比べると、仕上がりが全然違う。よくできました」
と褒めた。

「私、ゆがんだり曲がったりするのが大嫌いだから……」
「そこが、お前の良いとこや」
と応えると、さらにやる気を起こしてくれた。その後も興味を持って折り続けてくれた。

一緒に折っていると、ちゃんと完成できた。

ある程度できたところで、「今度は、お前一人で折ってごらん」と一人でやらせた。ところが、1~4手順までは、できたが、5手順目になると、毎回、間違った折り方をして失敗した。

ゴミ箱作りのポイントは、5と6手順目にある。これを間違わずに折ることが大切だと思った。そこを、何回も何回も折らせて訓練した。教えるのに根気がいった。完全に覚えてくれるまで4~5日かかった。

その間に、ゴミ箱作りに慣れてきてたくさん作ってくれた。完成品が化粧箱に溜まっていくのを見て嬉しくなったのか「ゴミ箱作りって楽しいし面白いわ」と言ってくれた。

妻がゴミ箱を何分で完成させるか作業時間を測った。私は1分強でできる。妻は、丁寧に折るので3~5分くらいかかった。換算すると1時間当たり、ゴミ箱は12個くらい作ることができる。

60枚のチラシを渡しておけば、5時間くらいはゴミ箱作りに時間をかけてくれることになる。テレビ観賞で午前・午後合わせて5時間くらいなので、計10時間くらいは、退屈せずに留守番をしてくれると思った。

※本記事は、2020年8月刊行の書籍『認知症介護自宅ケア奮闘記 私の知恵と工夫』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。