「接し方がわからない」「予想外の反応に戸惑う」大人の発達障害に悩むのは本人だけじゃない。

長年、医療福祉相談員として働いてきた著者が語る、ともに向き合い、仕事をしていくうえで必要なことを解説します。

発達障害の傾向に気づく

○医療技術職で新卒入職。現場は思ったよりも複雑で細かいことが多く、先輩が細かく説明してくれます。一生懸命メモをとっていましたが、説明の分量も多く、それを見ていた先輩が「そうじゃなくて、こんなふうにメモを作ったらいいよ」と言ってくれましたが、自分のやり方以外のメモのとり方に混乱し、数ヵ月で退職してしまいました。

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〔「メモのとり方も、考え方も、人によっていろいろ違いますからねー」と私が言うと「えっ?違うのですか?」と驚きました。彼にとって、ほかの人が自分とは違うように考えるのは当然ではなく、物事にはひとつの解答しかなく、メモのとり方もひとつであり、自分とは違うメモのとり方に直面した時、混乱しか生まれなかったのです〕

これらのエピソードはASDの傾向が強い人ですが、もちろんASDの傾向があっても、仕事を継続している人は多くいます。また、一人で完結するような仕事であればあまり問題はありません。