私に言わせれば不必要なものである。ただもったいをつけているようにしか思えない。ただ、これは民間人の発想であって、補助金を出す際にはそれなりの手続きが必要であるという役所の論理があるのだろう。

もう一つは、新分野であっても補助金額のベースになるのは、あくまでも「復旧」であるということだ。まず被災した施設・設備がなければならない。その復旧を断念し、それに代わる施設・設備を新設することになるのだが、補助対象になるのは以前の施設・設備を復旧するのに要する金額の範囲内であるということだ。

例えば、倉庫が津波で全壊した、復旧すると4000万円かかるが、その倉庫の復旧は断念して、震災前にはなかった機械を購入したい。その機械の価格は8000万円であるとする。

この場合、8000万円が補助対象になるのではなく、倉庫の復旧に要したであろう4000万が補助対象になる。残りの4000万円は自力で調達しなければならない。つまり、新分野進出のための資金が無制限に認められるわけではなく、金額的にはやはり復旧の枠を出ていないのだが、それでも補助金の効果という観点からは大きな前進があったといえる。

※本記事は、2020年10月刊行の書籍『補助金の倫理と論理』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。