公庫の融資、県の補助金交付事務といった実務経験をもとに、日本の金融と補助金の問題点を考察していきます。当記事では未曽有の大災害の後に、グループ補助金の「新分野」が認められるようになった経緯について、筆者が語ります。

新分野進出資金

「復旧」であることを厳格に解釈、運用するあまり、補助金が活かされていないのではないか、「せっかく補助金をもらっても企業が維持できない。なんとかしてもらいたい」という声が事業者、補助金を受給される側からあがり、その声は次第に大きくなって、ついに国も重い腰を上げた。

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平成27年度からグループ補助金の「新分野」が認められるようになったのだ。これは、震災前と同じ機械設備では企業の存続がおぼつかない。

あるいは右肩下がりであった震災前と同じことをしていたのでは企業の存続はおぼつかない、企業が維持成長していくためには震災前と異なる分野に進出する必要がある。そう考える企業に、震災前に所有していたものとは異なる施設・設備に補助金が出るようになったものだ。

ただし、これには二つの制約がある。一つは、新分野進出で補助金を得るには、東北経産局が認定した認定機関が発行する、新分野への進出計画が妥当であるという認定書が必要になるということだ。

認定機関は商工会議所や地域の銀行などだ。これらの認定機関は計画の妥当性について審査をすることになっているが、簡単な要件審査であって、認定されないことはまずない。