「最近調子はいかがですか?」の問いかけに、母親は笑みを浮かべた。

小学2年生になりました。算数と国語は相談教室で兄と一緒に他のお子さんを含めて3人で学習することにしました。

まだ授業中ちょっかいを出したり、奇声をあげたり、同級生を叩いたりすることも少なからずあり、夕方になると担任からクレームの電話がかかってくることも度々あったようです。それでも母親は辛抱強く薬を飲ませ続けました。

すると、学習の面で変化が見られ始めました。ひらがなの読み書きができるようになったのです。また、今まで自分で連絡帳を書かずに、友人が書いてくれていましたが、4月下旬からは自分で書くようになりました。やっと効果が出始めたので薬の量を増量していきました。

それから2カ月が経ちました。

「最近調子はいかがですか」と診療に訪れた母親に聞くと、笑みが浮かんだのです。

「朝方、やや眠いようで起きるのは遅いのですが、起きてからの行動がスムーズで、遅刻せずに登校しています。宿題は自分でやるようになりました。そして、兄と宿題をどっちが早く終えられるか張り合うようになりました。それから学校からのクレームの電話がなくなったんです。それだけで生活がラクになったんですよ。他にも、前髪を気にしたり、給食の割烹着は似合わないから嫌などと言ったりして少し色気づいてきたようです」

さらに母親が続けます。

「宿題の書き取りは、私が横についていて30分、つかないで15分できるようになりました。しかし、嫌いな算数は私がつかないとまだダメなようです。でもDRCのポイントが良くなってきました。それに私に叱られても泣かなくなったんですよ」

叱るだけでなく褒めることも忘れていないようで、お子さんとの接し方もスムーズになってきたと言います。

【続く…】

※本記事は、2018年10月刊行の書籍『新訂版 発達障がいに困っている人びと』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。