インド全体でサイクロンによる年間の死者は万にのぼるのではないだろうか。1999年にコルカタ南部のオリッサを襲ったサイクロンでは数千人が亡くなり、海岸には人・家畜の死骸が山になったそうだ。大風で太い街路樹が倒れることも多いが、最大の被害は洪水によるもの。洪水の被害は毎年各地から報告される。

大都市で、特に洪水の多いのはムンバイ・コルカタで、道路が冠水して車も走れなくなる。大量の雨で下水の処理能力を超えてしまうからだが、どちらの都市も海抜が低いことから大雨が満潮時に当たると最悪だ。元々コルカタでは大潮のときには下水が逆流してトイレを使用できない地域もあるから、これに大雨が重なれば推して知るべしだろう。

市内の車道は50センチメートル以上の膝上浸水の川となり、道路にあるマンホールの蓋も、溢れた下水に押し上げられて外れてしまう。この前提で社有車としていた車高の高い四駆なら洪水の中を走れるが、軽自動車などは浮かんで流されてしまう。マンホールの蓋が外れているため、車の車輪がはまり込んで立ち往生したり、時には歩いていた人間が落ち込んで死亡したりする事故も起きる。

※本記事は、2020年10月刊行の書籍『多様性に溢れる悠久の国 何でもありのインド』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。