【2】警察への通知の規定も盛り込まれている。「医療安全のために収集した資料」を警察に渡すというのである。以下の場合は、警視総監又は道府県警察本部長に通知することとなっている。

①故意による死亡又は死産の疑いがある場合、
②標準的な医療から著しく逸脱した医療に起因する死亡又は死産の疑いがある場合、
③関係物件を隠滅、偽造、変造した疑い、類似の医療事故を過失により、繰り返し発生させた疑い、その他これに準ずべき重大な非行の疑い。

これらは、公権力により如何様にでも解釈可能である。

【3】罰則規定もある。個人及び法人の代表者の双方を罰する両罰規定である。

【4】大綱案の「病院等の管理者の医療事故死等に関する届出義務等」の項目を今回の医療事故調査制度と比較していただきたい。まず、今回の医療事故調査制度は、医師法第21条は現状のままである。ただし、診療関連死の異状死体の判断は「外表異状」と明確になった。

医療事故調査制度の報告対象に該当する「医療事故の定義」は、「提供した医療に起因し、(かつ、)予期しなかった死亡」である。大綱案は、「死体を検案しまたは死亡について診断して、次の死亡に該当するとみとめたもの」とあり、

①行った医療の内容に誤りがあるものに起因し、又は起因すると疑われる死亡又は死産、
②行った医療に起因し、又は起因すると疑われる死亡又は死産であって、その死亡又は死産を予期しなかったもの

とされている。さらに、報告は24時間以内である。

これだけでも、今回の医療事故調査制度を守って行くべきことが明瞭であろう。大綱案に回帰してはならないのである。

※本記事は、2018年12月刊行の書籍『未来の医師を救う医療事故調査制度とは何か』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。