九十五歳で

九十五歳で乳ガンの手術
病室でかあさんは私を手招きして
「乳首が無くなったよ
もう私女でないんかねぇ」
「そんなことはないんだよ」と私
後向きにほほがゆるんだ

全身に広がっていく痛みをうけとめ
最後まで自分のことは自分でして
家で息をひきとることを望んだかあさん

痛かったね がんばったね
かあさんは立派でした

写真を拡大 「潮涼」