まずは、互いの近況報告から。

「ブレンドでお願い」とオーダー。

「男の子二人だよね、もういくつになった?」

「上が五歳で下が三歳、男の子は手がかかるね、保育園の送り迎えは近くの公園まで園の送迎バスが来るから助かるの、年長と年少組だから来年は小学校と保育園の二手に分かれるから少し大変かな」

「子供の成長は早いからすぐ楽になるよ」

「そうかしら、男の子は女子と違い動作が乱暴でしょう、しょっちゅう怪我をしているわ、昨日も下の子が保育園で転んで足に擦り傷が出来ていた」

「兄弟の仲はいいの?」

「二歳離れているから、よその子供みたいにあまり一緒に遊ばないね、お互い遊ぶ友達が違うみたいよ。本当は、一姫二太郎といって、上が女、下が男の子が理想だった。その方がお姉ちゃんがいろいろ面倒見てくれるし、母親の話し相手にもなってくれるから、男の子なんか少し大きくなれば母親とは口も利かなくなるというでしょう、そうなったら寂しいわ」

「大丈夫よ」
「取り越し苦労ならいいけど」
「御主人は手伝ってくれるの?」と心配そうな顔をして聞いた。
「仕事が忙しいらしく帰りが毎晩遅いから、あんまり役に立たないわね、私も彼に期待していない」
「御主人、何の仕事だっけ?」

「保険会社の営業なの、一週間の内三日はお客の接待とか言って帰りが十二時頃なの、接待がない日は残業とかで帰りは十時頃になる。だから夕食はいつも子供たちと私の寂しい食事ね、武蔵小杉はここ数年で急に再開発が進んで高層マンションがいっぱいできたでしょう、うちのマンションでも東京からのサラリーマンの住起点になったおかげで夜遅い時間でも人の出入りが結構あるのよ」

※本記事は、2020年11月刊行の書籍『揺れ動く女の「打算の行方」』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。