「脳梗塞・認知症・運動器症候群(ロコモ)」​三大疾患、2人の医学博士が徹底解説。高齢者が自立して健やかな老後を送るためのノウハウ満載。医療従事者だけでなく、介護・福祉関係者も活用できる知識をお届けします。

認知症の鑑別診断~少ないが、予防・治療可能な認知症がある~

良性脳腫瘍の例〜髄膜腫

髄膜腫(ずいまくしゅ)は脳腫瘍の中では最も頻度が高く(100万人の人口に対して年間20人程度に発生)女性に多い腫瘍です。ほとんどが良性の腫瘍です。すなわち大きくなるスピードが遅く、転移することも少ないということです。

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脳の表面を覆う硬膜と呼ばれる膜に発生し、脳と頭蓋骨の間で脳を圧迫しながら大きくなります。しかし、水頭症の中には、このようなはっきりとした原因もなく、特徴的な3つの症状(もの忘れ、歩行困難、尿失禁)が、6カ月~1年の間に進行するものがあります。

腫瘍の発生部位により障害を受ける脳の部位も異なるため症状も様々です。手足の麻痺や歩行障害、感覚障害、言語障害などが多いですが、場所によってはめまいやふらつき、難聴、視力障害や視野欠損、物が二重に見えるなどの症状が出たり、もの忘れなどの認知症のような症状を生じたりすることもあります。

[図1]髄膜腫のMRI像 左図(水平断):前頭部大脳鎌部髄膜腫。中央図(冠状断):大脳前頭部の傍矢状部髄膜腫。右図(水平断):小脳橋角部髄膜腫。矢印は腫瘍を示す

手術摘出により治癒が可能な脳腫瘍の1つですが、手術による死亡を含めた合併症も少ないながら存在します。症状がない場合は手術をせずに様子をみることが推奨されていますが、いまだ議論のあるところです。

それは髄膜腫の自然経過(どのぐらいの速さで大きくなるのかなど)はいまだ明らかにされていない(個々の患者により大きく異なる)ため、長期間大きくならず無症状のままで治療を必要としない人もいれば、比較的短期間で大きくなり症状が出る人もいることが理由です。

腫瘍が大きくなって症状が出てからでは、手術による合併症の危険性は上がります。また、部位によっては手術ができないような場合もあります。したがって、それぞれの患者さんごとに慎重に検討して決めていく必要があります。