独居老人で「うつ」を発症する人は多い

H2さんもH1さん同様独居でありやはりうつでした。幸いお二人共治療により症状がなくなり元気になられました。でも退院すればまた一人です。お二人は女性でしたが男性も例外ではありません。

アルコール依存症に近くなったMさんは6年前に奥さんに先立たれ子供さん夫婦と同居はされています。でも生活は全く別で離れた部屋で一人孤独です。やるせなく、眠られず酒浸りになってしまいました。

「今日もこれから帰ってまた酒だ」。そんな言葉を残してMさんは帰って行かれました。

産業医として市内の各支所を回った時共稼ぎ家庭で家へ帰っても誰もいない子供たちをしかるべき時間まで預かっている支所がありました。

「預かるだけではなくボランティアでお年寄りがいろんな遊びを教えたり、勉強を見てあげてはどうでしょう」と提案しました。そんな活動が定着できたら素晴らしいと思います。

当院を受診される方の多い過疎、高齢化が進んだある地域は近所の人同士の結び付きが強く支え合っています。独居のがん患者さんに皆が食事を差し入れしたり寄り集まってお茶会を開いています。そんな地域からはあまりうつは出ません。

さて母親を乳がんで失ってから相談相手もいなくなり発症した女性は1時間以上ものメンタルヘルス相談の後「こんな制度があったのですね。今まで知りませんでした」と少し明るい表情になり帰って行かれました。

『孤独になるな』の人形劇では小森勝が子供達と一緒に作り、飛ばした竹トンボが大空高く舞い上がり、群れをなして飛んでいる赤トンボの中に入っていくのがラストシーンです。

※本記事は、2020年6月刊行の書籍『新・健康夜咄』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。