やっとショーから解放された私は、

「さあーもう一眠りするぞ~」

また、布団の中でまどろんでいる。しかし、ショーはそんな甘くはなかった。今度はいきなり私の無防備な腹に乗ってきた。

「ショー!」

私はバカでかい声で叫ぶとショーの奴は「ヒャー」と両手を挙げて逃げていった。これで私は完全に眼が覚め布団から這いだした。

まだ朝の六時だがもう寝てはいられない。外もまだ薄暗い。

ショーは朝五時頃から起きパジャマのままで家の中を走り回っていたみたいだ。子供用の小さな掛け布団は黒いカウチ型のソファーの横に放り出されているし、テーブルの上とはいわずフローリングの床の上までポテトチップの破片やポップコーンの食べカスが散乱している。

キッチンヘ行けばパイプ椅子が転がっている。これはいつも冷蔵庫の上にお菓子がおいてあるので、椅子を持ってきてとったらしい。ショーにはこの位の知恵はあるのだ。

「あっ」

リビングに戻るとまたやられていた。昨日買ってきたばかりの本の表紙がカバーとともにビリビリに破かれている。またやられた。

ショーは本を見ると必ずカバーといい、表紙といいビリビリ破り飽きるまで本をいたぶってその辺りに捨てておくのだ。だから、家に在る本は殆ど被害にあっている。

見えないところに隠しておいてもいつの間にか見つけだし、表紙を剥がしばらばらにしてしまう。ショーは本を読む時間があったら、もっと自分に構ってくれ遊んでくれと言っているようである。

※本記事は、2020年10月刊行の書籍『ショー失踪す!』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。