そのため歯科においては、例えば歯茎が腫れてきたとして、コツコツ保険で数回にわたり合計数千円で治療している先生と、極端なことを言えば、その歯を抜いてインプラントを勧める先生とでは大きな差が出てしまいます。私は決してインプラントを否定しているわけではありません。

私も父に5本ほど入れていますが、インプラントが第一選択になりつつあると堂々と言う歯科医師の先生がいることについては、私は怒りさえ感じます。あなたが第一選択にしたいだけでしょうと、そう言いたいです。それは大きなまちがいだと思っています。

インプラントは決して万能なものではなく選択肢の一つであり、歯科医療の問題についてとやかく書きたいということではないのでそのことは差し控えますが、インプラントというのはもし抜かなければならなくなった場合、保険において点数が発生します。そのことに対してはすごく疑問を感じます。治療費で何十万円ももらった先生がいる一方で、それ以外の病院に行けばまた保険で歯科医療費を使って抜くことができるのです。

聞けば韓国においては、インプラント治療がすべて管理されていて、調べれば詳しくわかる制度になっているそうです。日本も国がきちんと管理を行い、それに対して、インプラントを植える場合1本当たり1~2万円を転嫁するという制度を設け、転嫁した分を歯科医療費にあてるべきです。

そのほかインプラントに限らず、自費の義歯や自費のかぶせ物に対しても一部負担させ、その負担分は国家の歯科医療費に転嫁するという自費診療還元法を作ったほうが良いと思います。そうすれば、保険診療でコツコツ治療している先生もうかばれ、保険診療での矛盾も少しは解決できると思います。

※本記事は、2017年11月刊行の書籍『日本のこれからをつくる本』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。