「また点数低いなぁ。テストの点数を見るたびに、『それがお前の人としての点数だ』って突きつけられている気がするんですよね。学校だと」と。

私は、本当に悲しい気持ちになりました。学校という場所は、なんと息苦しい場所なんだろうと。

テストでわかる能力は限られています。テストで点数をとることも子どもの一側面です。

しかし、学校や社会の中では、「テストの点数がよければよし」という風潮がありはしないでしょうか。それが、学校から大切な「人間らしさ」を追い出しているところもあるのではないでしょうか。

友達に対して優しく接することのできる子が、毎回のテストのたびに自信を失い、否定されたような気持ちになることは、見るに堪えません。テストでよい点数をとることと、友達を大切にすることはどちらも大切であり、そこに優劣はつけられないと思います。

そこで、子どもの成長や幸せのためになるテストについて考えました。今、ほとんどの学校で行われているテストを、貴重な勉強のチャンスととらえさせるのはどうでしょう。なぜなら、日々忙しい生活の中で、子どもがこれほど集中して勉強できる時はないからです。

子どもの気持ちを考えれば、遊びたいのもわかるし、さぼりたいのもわかります。しかし、徹底的に勉強をするという経験も大切です。

目の前の課題から逃げず、「努力する習慣」を身につけさせるのです。テストに向けて覚えた知識を忘れることはあっても、「努力する習慣」だけは奪われることがないからです。

 
※本記事は、2020年10月刊行の書籍『教師は学校をあきらめない! 子どもたちを幸せにする教育哲学』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。