3年となったばかりの我々も、既に2度振り分けを経験したが、その記憶はそんなに遠い過去ではない。1度目は、今年は格別出来が悪い、と百人に対し二十人近くが落とされた。

僕は思わず手先が止まってしまった。どうにか今まではパスできたが、将来はどうなるか分からない。

僕は現に骨学は1度失敗して、再試験で合格した苦い経験が有る。学期末には試験週間と呼んで、重要な試験が3、4日おきにつづく。教科によるが、たいていは中間試験もある。

「さあ、今日はこれくらいにして、予定を終えた班から片づけに入って下さい。もちろん、今日も10時まで開いていますので、遅れた班でも十分念入りにやってもかまいません」

教授の声が響くや、片づけに入る班も有れば、いっこうに動く気配のない班も有る。我々は後もう少しというところだ。

僕たちはなおも、まるで張り付いた服を脱がせるような感覚で皮膚を剝がしてゆく。この調子で全身に及ぶのだ。

どちらかというと単調な作業だ。平坦な腹部、胸部は格別難しくない。

ただ、乳腺の周りは、事情が違う。乳首を含む乳輪の周りに一周切開を入れ、そこから放射状に切開を入れるらしい。

大多数の班は片づけて、引き揚げ始めた。

※本記事は、2020年10月刊行の書籍『正統解剖』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。