膠原病リウマチ痛風センターの所長が、患者とその家族のために綴った「センター便り」をまとめた、心あたたまるエッセイを連載でお届けします。

2014年5月1日 STAP細胞と科学的真実

「薫風の候」鮮やかな新緑が目を癒やし、爽やかな涼風が肌に心地よい快適な季節になりました。

「発達障害かもしれない職場の人」との関係でうつ病になった話

東京女子医大最寄り駅である若松河田駅前には、色鮮やかなサツキが咲き誇っています。ひと月前に満開を迎えた桜はやわらかな薄紅色で皆を癒やしてくれましたが、サツキは目の覚めるようなピンク色で通り過ぎる人すべてに強烈な印象を与えます。

桜のような優しさと、サツキのような強さ。自然はいろんな力のあり方を教えてくれます。

先日来、STAP細胞を巡る騒動がマスコミをにぎわしました。科学の基本から言えば、悪意があろうとなかろうと誤りは誤りであり、この意味から言うと改ざんも単純ミスも大きな違いがなく、とにかく正確を期すのが研究者の使命です。

しかし社会的な見地からは、誤りに悪意があるかどうかが問題になるようで、科学者の視点とマスコミに代表される社会の視点には大きなずれがあるように思います。

それが私たちにはとてもよく分かるのですが、実感できない人々も多いことを今回知り、いろいろと考えさせられました。

再生医療という科学の最先端で起こっていることは、科学者の端くれである私にも理解できないことが多く、まして一般の人々にすべてを理解してもらうことは難しいと思います。