!!! っっのバカ! 何やってんだよ。しまっちゃったじゃないか! ! ! ! !

俺が恐怖におののいた瞬間、お菓子食べながらポリポリ背中掻いてたコイツが、窓の外で青くなって右往左往する母をみて、大爆笑だ。

マーマ、ピョンピョンしてる!

声は聞こえないけど、ホームにいる清掃スタッフに、「こどもが、こどもが!」叫んでるのがわかる。どーすんだよ! ! 切符もママが持ってんじゃん!

無情にも動き出す新幹線に、小学生の俺は心細くて泣き出した。恥ずかしくて声はこらえたけど、涙が止まらない。

三緒はただならぬ俺の気配を感じて、笑うのを止め、不思議そうに俺を見てた。目が合うと、ニッと笑った。

そうだよな、おかしいよな。絶望のどん底気分だったけど、外から見たら、アホすぎておかしいわ。この時は、結局母が、はやぶさで仙台でやまびこに追いついて、

「間に合った~! イェーィ☆」

ハイタッチしてんじゃねぇぞ、二人! でも、もし、三緒にわんわん泣かれてたら、パニックになって、次の上野で降りちゃったかもしれない。コイツの動じなさ、おおらかさに、救われた。