ショーもそのとおりであった。散歩の途中等で、飲み物や食べ物を買う習慣がついてしまうと、ちょっとでもその習慣から逸脱してしまうとパニックを起こしてしまうのだ。

ショーの場合は自傷行為である。自分で自分を傷つけてしまう。パニックを起こしたときは「ヒー」という奇声を発生しながら、自分の頭をこれでもかと叩きだし、次に右手の親指のところを思い切り咬んでしまう。

それも血が出るまで止めないので、いつまでも右手の親指の付け根の所は瘡蓋(かさぶた)ができて堅くなっている。パニックを起こしたら高ぶった感情が落ち着くまでそっとしておくことしかできない。

無理やり止めさせようとすると火に油を注ぐ結果になり、ますますパニックがひどく、収拾がつかなくなる。そんな時はショーを体ごと抱きかかえじっとしている。

するとショーの呼吸が少しずつゆっくりになり平静を取り戻してくる。ショーは自分で自分の感情をコントロールできない。

平静になると傷ついた右手を見せて「血が出ている」と訴えてくる。もう溜息しかでない。

※本記事は、2020年10月刊行の書籍『ショー失踪す!』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。