心のこもったお昼ご飯と当番制

一一時一五分からお昼ご飯の準備である。保育士は食事専用のエプロンやバンダナに着替える。調理の先生たちがあらかじめ栄養士が計画されたメニューで調理をするので、保育士は子どもたちの食事や牛乳などをカートで受け取る。出来立てで、栄養バランスが考慮され、大人顔負けの美味しそうなメニューである。

ただ、食事におけるアレルギー問題が注意すべき点として毎回、一人ひとりの食材に気をつけている。アレルギーを持つ子どもには、食事もおやつも名前と子どものカラー写真のカードを載せた専用プレートで提供される。間違いは許されない。命にかかわるからだ。

この保育所では保育士は子どもたちと一緒に食べない方針(二〇一八年三月時点)なので、子どもたちの食事を見守り、必要であれば手助けする。「先生、集まれ!して」と子どもたちから言われて、最初は意味が解らなかった、茶わんのあちこちについたご飯つぶを箸やスプーンで食べやすくまとめて欲しいとのリクエストなのである。「いいよ!」と茶わんを受け取り、集まれ!してあげる。

四、五月頃は、保育士は全員に食事時の口拭きタオルを配布、食事の配膳と忙しかった。しかし子どもたちが慣れてきたタイミングで、主担任の保育士の先生が当番制を導入した。当番になった子ども二人の役割りは、①食事用の口拭きタオル、おやつ用の口拭きタオルをすべての子どもに配る、②ご飯の茶わんやおかずの器やフォークや箸を配る(汁物や牛乳などは、こぼす可能性があるので、やはり保育士が配る)、③食事のご挨拶をする、である。

私は子どもたちがついてこられるか、心配だったが、これは杞憂だった。毎朝子どもたちは、「自分が今日の当番やりたい!」とせがむのである。さすがに経験のある主担任の先生である。子どもたちの心の中に、「人のために役立ちたいな」、「あの子ができるなら、僕もできるよ!」という意識があることを理解していたのだろう。

もちろん、当番制は食育や徳育の観点からも大切である。一方、サブの保育士はお昼寝のための人数分の簡易ベッドのセットをする。簡易ベッドとは言え結構重く、全員の人数分なので、腰を痛めないようにしないと大変である。

子どもたちの活力のもとお昼寝

食後は、歯磨き、お手洗い、お着替えをして、自分のベッドに寝るように子どもたちを誘導しなければならない。子ども同士でふざけて遊んでいたり、お着替えが上手くいかない子もいる。通常はお昼寝は一二時四五分くらいからおよそ一五時までだが、直ぐに熟睡する子どもと、寝れずに悶々として起きている子どももいる。

睡眠中は、乳幼児突然死症候群(SIDS:Sudden Infant Death Syndrome)や、窒息などによる事故の防止の観点から、三、四歳児は一〇分おきに一人ずつ確認し、チェックリストに個別に問題ないことを記入する。ちなみに〇歳児や一歳児などは、五分おきに確認をするためでとても大変である。

約二時間のお昼寝の間に、保育士は交代で一時間の休憩を取るが、残りの一時間が貴重だ。その一時間の間に保育士はSIDSのチェックをしながら、週案や日報を記入したり、その日の活動などを保護者向けに掲示板や保護者への連絡帳に子どもの状況を記入する。

また保育所はイベントが多く、毎月のイベント(遠足、たなばた、クリスマス会など)や毎月の誕生日会、毎月の避難訓練があり、クラス担当の保育士はその都度に企画書を作り、必要な準備や衣装などを手作りするので、いくら時間があっても足らない。

また子どもたちは昼食時中に食事を床にポロポロこぼすので、昼寝の間に、机や床の掃除もきちんとするので大変である。保育士の勤務が厳しいというのもうなずける。

おやつとお帰りの会

保育士は一五時に子どもたちを起床させ、子どもたちはトイレ・手洗いそしておやつとなる。サブの保育士はベッドをすべて片付ける。お昼寝中におねしょをする子もいるし、トイレに間に合わず、お漏らしの子もいる。そんな時は、子どもを着替えさせて、次亜塩素酸に漬けた雑巾で床やベッドを手早く拭く。

おやつも調理の先生が心を込めて作った本格的なおやつだ。私が子どもだった頃のような固いビスケットと牛乳ではない。食事やおやつに関しては今の子どもたちは恵まれていると思う。また歯磨き、トイレを済ませ、一六時前にお帰りの会で、保育士のオルガン演奏に合わせて歌をみんなで歌う。

その後、子どもたちはおもちゃやごっこ遊び、お絵かきなどに興じる。一六時頃から保護者たちが順次お迎えにくる。保護者への子どもの引き渡しでは、今日の活動や、

昼食を食べたか、お昼寝は十分だったか、場合によってはお漏らしをしたか、伝えることも必要である。

遊びの中で子どもが転んで、おでこが赤いとかもきちんと伝えることも大事だ。場合によっては、事故報告書やヒヤリハット報告書も記入し、再発防止を心がける。保護者が子どもを迎えに来るまで保育士が一緒に遊んだり、保育士が本を読んで聞かせたり、粘土遊びや塗り絵をし、また一七時前のお茶が提供される。

さらに保護者が迎えに来るのが一九時一五分までの子どもたちには軽い補食が、二〇時一五分までの子どもたちには夕食が出される。食事は調理の先生が調理するが、原則は事前申請である。

最後の子どもが退園した後に片づけや掃除が行われ、明日の早番への引継ぎが記録される。保育所の長い、長い一日はこうして終わる。

※本記事は、2018年8月刊行の書籍『じーじ、65歳で保育士になったよ』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。