魚ではなく、魚の獲り方を与える「授業」

中学生でも、「今の世にも差別があること」「児童労働があること」「奴隷という言葉の意味」「日本に原子爆弾が落とされたときの様子」知っている人は多くはありません。私は教師として「差別」「奴隷」という単語を覚えさせたいのではありません。

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「原子爆弾」の投下によって、どれだけ多くの人が苦しんだのか、唯一の被爆国として、何を世界に発信していくべきなのかを知ってほしいのです。今でも世界には、身近にこのような問題があることに気付かせることができれば、子どもは自分と他人の幸せにつながる生きた学問をしはじめます。

教師の中には、授業を改善したいと思っている人はたくさんいます。しかし、どうしても中学校卒業前には、入試があります。教科書の内容を暗記すること以外にも身につけさせたい力はあるのですが、時間が足りないのです。

また、多くの保護者が入試に役の立たない授業を求めていません。そこにジレンマを感じている人も多いのではないでしょうか。

しかし、だからといって「自分じゃなくても成立する授業」では、自分が教壇に立つ意味がないじゃありませんか。私が大切だと思うのはバランス感覚です。基礎基本も確実に定着させたうえで、応用力を身につける独創的な授業も行っていけばよいのです。

人柄がよく、子どもへの愛情だけがあれば務まるというものでもありません。やはり教え方に関する技術も必要です。

もちろん今の私の授業が完璧であるとも思いません。ぼーっとしている子や、つまらなさそうにしている子もいます。授業進度のペースを気にして、私がしゃべりすぎてしまったと思うことばかりです(のどが痛くなっていつも後悔します)。

だからこそ、これからもお互いに授業力を高めていきましょう。みなさんは、なんのために授業があるのだと思いますか。また授業を通して何を伝えたいですか。そして、あなたが目指す授業を実現するために、どんな方法が考えられますか。

 
※本記事は、2020年10月刊行の書籍『教師は学校をあきらめない! 子どもたちを幸せにする教育哲学』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。