相談を受けた病院事業部では検討の結果K副参事が病院に「これまで都立病院から警察に事故の届出を出したことがないし、詳しい事情も分からないから、今から職員を病院の方に行かせる」旨連絡した。これを受けて、甲病院では、病院事業部の職員が来るのを待ち、同日午前11時すぎ頃、Kが甲病院に到着した。

Kは、被告人に対し、これまで都立病院では届出をしたことがない、職員を売るようなことはできない、衛生局としては消極的に解釈している、旨発言したため、被告人は、他の病院幹部に「しょうがないでしょう」と述べて、警察への届出はしないまま、遺族の承諾を得た上、病理解剖を行うことに決定した。

なお、被告人が、I課長をして所轄の渋谷警察署に届け出させたのは、同月二十二日である。

※本記事は、2020年5月刊行の書籍『死体検案と届出義務 ~医師法第21条問題のすべて~』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。