東京都立広尾病院事件東京高裁判決と医師法第21条

Aの死亡した日は祝日であり、被告人は、外出していたが、電話で、患者が急死し、薬物中毒の可能性もあること、薬剤の取り違えの可能性があること、明日病理解剖の予定であることなどの説明を受け、明朝対策会議を開くことを決定した。

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翌二月十二日、被告人は、D医師からAの死亡については心筋梗塞の所見があるが、看護師が薬を間違えたかもしれないと言っている旨の報告を聞いた後、被告人、副院長2名、H事務局長、I医事課長、庶務課長、看護部長、看護科長及び看護副科長による対策会議を開いた。

A死亡に関する書面が配布され、それらに基づき看護副科長による報告が行われた。その後、F看護師はヒビグルとヘパ生を間違えたかもしれない旨涙声になりながら説明し、D医師は心筋梗塞の疑いがあることを指摘した。

その後、今後の対応について協議したところ、J副院長が「医師法の規定からしても、事故の疑いがあるのなら、届け出るべきでしょう」と言ったほか、他の出席者も警察に届け出ることを口々に言い出したことから、被告人も「警察に届出をしましょう」と言って決断し、警察に届け出ることにいったん決定し、被告人は、これを監督官庁である東京都衛生局病院事業部に電話連絡するよう指示した。