違う点もあります。

関節リウマチを悪化させる物質のうち、TNFという物質に作用する薬剤5種類、IL-6という物質に作用する薬剤が1種類、リンパ球の一種であるT細胞の活性化を抑える薬剤が1種類あります。点滴静注しかないものが1種類、皮下注射しかないものが4種類、どちらもできるものが2種類です。

注射の頻度は週に2回、週に1回、2週間に1回、4週間に1回、8週間に1回と様々です。日本で開発されたものが1つ、あとの6つは海外で開発された薬剤です。各々の特徴をざっと書いてみます。

レミケード:最初の生物学的製剤。8週間に1回の点滴静注。投与量が調節できるのがメリット。
エンブレル:週2回の皮下注射が基本。有効だと週1回に減らせるかも。自己注射ができる。比較的安全。
アクテムラ:IL-6を抑えるので炎症を表す数値のCRPがほぼ0になる。点滴と皮下注射の両方が選択できる。
ヒュミラ:世界中で一番よく使われている生物学的製剤。2週に1回の皮下注射で、自己注射ができる。
オレンシア:T細胞の活性化を抑えるので、他の薬剤とは違う効果も持つ。安全性は比較的高い。
シンポニー:月1回の皮下注射で、用量が選べる。アレルギー反応は少ない。
シムジア:2週に1回皮下注射するのが基本。効果が早く表れるのが特徴。

最初に書きましたように、物事には良い面と悪い面がありますが、ここでは良いことばかり書いてみました。薬剤はどれも副作用が生じる可能性があるわけで、確かに良いことばかり書くのはどうかとも思います。

しかし、希望は良いことを知ることから始まります。そのように考えて、そっと書いてみました。

「良いニュースというのは、多くの場合小さな声で語られるのです」(村上春樹『ねじまき鳥クロニクル』)

春まであと一息。くれぐれもご自愛あれ。

※本記事は、2019年1月刊行の書籍『リウマチ歳時記』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。