しかし、どうしてもグループを組むことができず、グループ補助金をもらえず復旧を断念したという企業もある。国が「集団化」にこだわらなければ、このような企業も救えたのではないか。

グループ補助金をもらえず復旧できなかった企業のなかには、ひょっとしたらその地域の発展に大きく貢献できるような成長の可能性を秘めていた企業もあったかもしれない。経済発展に欠かせないイノベーションは、しばしば商工会議所や組合などの団体に所属していない一匹狼的な企業によって成し遂げられた、ということを私たちは知っている。

理美容や飲食店などの生活衛生業界で繁盛している店は、生活衛生同業組合に加入していない、いわゆるアウトサイダーに多い、ということもよく知られている。農協を脱退しロシアにコメを輸出して成功した農家を私は知っている。

国のこだわる集団化協業化は、まだ日本の諸産業が国際競争力を持たなかったころ、あるいは基盤の脆弱な中小企業が多かった時期には、かなりの成果を上げたと思う。その方向はまちがってはいなかったと思う。

しかし、高度成長を経験して各企業にある程度の力がついてくると、集団化協業化がかえって成長の足かせになる場合もある。集団化協業化はもう時代遅れだと断定するつもりはないが、見直すべき時期にきていると思う。特に災害補助金については。津波による被災は団体に所属しているいないに何の関係もなかったのだから。

※本記事は、2020年10月刊行の書籍『補助金の倫理と論理』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。