しかし、「わかりやすい」というだけを求めるのであれば、YouTubeによる授業動画もたくさんあるので、教え方のうまい教師の映像を見せる方が効率がよいのではないでしょうか。では、教師の授業力は必要なくなるのでしょうか……。

いやいやだからこそ、現場の教師の出番だと私は思っています。その理由は後で説明するとして、

現場ではどうなのでしょう

私が知りうる限り、現場の教師は授業づくりを一生懸命がんばっています。授業の案を作ったり、研究授業に参加したり、文部科学省からおりてきた評価の仕方について勉強をしたり。そして実際に素敵な授業をされる教師が現場にはたくさんいます。

時に「学校の先生は授業力がない」と言われますが、中学校では、道徳や総合的な学習、学級経営、部活動などたくさんの仕事があります。実際に翌日の授業について考えられるのは、夜の七時以降になることもよくあります。

私の場合は自分の子どもをお風呂に入れたいので、帰ってから授業づくりをします。そんな事情を知ってもらえると嬉しいです。

このように教師は、授業力を高めなくてはいけません。授業力がなければ、子どもがひどい目にあってしまうからです。そこで私は、そもそもなんのために授業を行うのかを考えました。

※本記事は、2020年10月刊行の書籍『教師は学校をあきらめない! 子どもたちを幸せにする教育哲学』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。