以上、社会人基礎能力のうち非常に重要なストレスコントロールに関する感情変化について見てきました。

感情はトレーニングで鍛えることができますので、人を資産として育て、企業の未来をつくろうとするときには、この感情についても学んでほしいと思います。ぜひ企業内教育のプログラムに加えていただきたいと思います。

ビジネスの現場のみならず、失敗の多くは感情の処理を誤ったときに起こります。現代社会はフェイスブックやツイッター、LINEなどで手軽に情報のやり取りを行うことができます。それだけに感情の扱いに注意しなければなりません。

パソコンや携帯電話でメールを送ったあと、よく考えたら自分の考えは間違っていた、一晩考えてみたら自分は冷静ではなかったと感じることは誰にもよくあることです。これはどんなに優れた人にもあることです。

ソーシャルネットワーク(SNS)時代はこうした冷静に考える時間を与えてくれません。SNSで救われたという人がいる一方で、SNSで人生がおかしくなってしまったという人もいます。

自分の考えとは違う言葉を使ってしまったことで誤解され、それまで仲のよかった関係が壊れてしまうことがあります。さらに深く考えずに発信した情報が世の中に拡散し、思わぬ誹謗中傷の嵐に巻き込まれる恐れすらあります。いったん間違った人格イメージができあがりますと、払拭するには大きなエネルギーを要することになります。

人間は試行錯誤の連続の中で成長していきます。当然のことながら言動を間違えることは誰にでもありますが、それを修復する柔軟性も持ち合わせています。ただし感情操作を間違えると、試行錯誤を繰り返しながら人間的に成長するというプロセスが機能しなくなってしまいます。

ネット社会が進化すればするほど、あふれる情報の中で十分に時間をかけて思考を働かせることがなくなり、感情的な反応が先に出てしまう人が多くなります。ネット社会において感情制御はとくに重要なテーマであることを忘れてはいけません。