したがって結核などの感染症がある人や、感染症を起こすリスクの高い人には使えませんし、何もなくても投与中は感染予防に注意していただかねばなりません。もうひとつの問題点は高価な薬剤費です。

今のところ薬剤の自己負担額は毎月5万円程度かかっています。ただし、今後医療費が改定されるともう少し安くなる可能性があります。

このような生物学的製剤は、すべてのリウマチ患者さんが使う薬剤ではありません。従来の内服薬では治療できないような炎症の強い関節リウマチがあり、かつ投与しても安全だと考えられる場合に使います。

安全性に危惧がある場合には、ケースバイケースですので主治医とよく相談していただきますが、場合によっては予防薬を服用しながら生物学的製剤を投与することもあります。

このように生物学的製剤は関節リウマチの治療を大きく変えましたが、この薬剤を使う、使わないにかかわらず、関節リウマチの治療自体がずいぶん進歩しました。

治療法が進歩することにより、患者さんの症状が治療によって軽快し、病気を発症する以前のような日常生活が送れ、豊かな人生を取り戻せるようになることを願ってやみません。

病気の状態を光に溢れた都会で見る星空に例えれば、病気の軽快は、空気の澄んだ田舎で見る星空のように、たくさんの星々が見える状態かもしれません。私どもはそのための手助けをしたいと思っております。

まだまだ寒い日が続きますが、ご自愛ください。

※本記事は、2019年1月刊行の書籍『リウマチ歳時記』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。